前回までのレッスンでセブンスコードなど、様々なコードをご紹介しました。
コードには「転回形」や「オンコード」と呼ばれる配置の仕方があります。
コードについてもう少し掘り下げて見ていきましょう。
コードのおさらいと基本形
コードの中のそれぞれの音の名前をおさらいしましょう。
コードを形作る音にはそれぞれ下からルート、3rd、5th、7thがありますが、上の楽譜のようにルートが一番下にある状態は「基本形」です。
コードにはルートや7thといった名前の他に覚えておくべき決まりごとがあります。
それは一番下にある音を最低音、一番上にある音を最高音だということです。
このように必ずしも最低音 = root、最高音 = 7thではないことを覚えておきましょう。
コードは構成音をが含まれていれば成立する
前回まではひと目見て理解しやすいようにコードをルートから順番に積み重ねてCmaj7やDm7、G7など、様々な種類を説明してきました。
しかし、コードとは本来、ルートから順番に積み重ねるだけではなく「構成音が含まれていれば積み重ねる順番や構成音同士の離れ具合(音程)に関係なく成立する」特徴があります。
実際にCmaj7を例に見てみましょう。
どれにもCmaj7の構成音である、C, E, G, Bが含まれています。
また、最低音はルート以外のEやG、Bなどが配置されています。
ルート以外が最低になっている場合もこれらすべてはCmaj7のコードであることに変わりはありません。
コードを決定づけるのはあくまでも音の並び順ではなく、何の音で構成されているかなのです。
転回形とは?
コードを決定づけるのは構成音だとわかったところで、最低音がルート以外の場合のコードネームについて説明します。
最低音がルートの場合は「基本形」でしたが、それ以外の音が最低音になっている場合は「転回形」といいます。下の楽譜はCmaj7をルート以外の構成音を最低音にしたパターンです。
それぞれコードネームに「/(スラッシュ)」と「E, G, B」などの構成音が書かれています。
これらが「Cmaj7の転回形」や「オンコード」、「分数コード」、「スラッシュコード」と呼ばれるものです。
次の表のように転回形にはそれぞれ第一、第二、第三と名前がついています。
オンコードとしてコードを読む場合は単純に「{コードネーム}オン{最低音}」で読むだけです。
コード | Cmaj7/E | Cmaj7/G | Cmaj7/B |
---|---|---|---|
読み方 (転回形) |
第一転回形 | 第二転回形 | 第三転回形 |
読み方 (オンコード) |
Cmaj7 オン E | Cmaj7 オン G | Cmaj7 オン B |
転回形の名前と最低音の関係は次の表のようになっています。
最低音 | 3rd | 5th | 7th |
---|---|---|---|
転回形 | 第一転回形 | 第二転回形 | 第三転回形 |
転回形とオンコードの違い
コードの最低音がルート以外の3rdや5th、7thの場合は転回形だとわかりました。
コードの構成音「以外」の音が最低音になっている場合は転回形ではなく、「オンコード」や「スラッシュコード」とのみ呼ばれます。(以降、記事内ではオンコードと呼称します。)
転回形はいくつもあるオンコードの中の特定のものを指す言葉であって、オンコード = 転回形ではないことを覚えておきましょう。
オンコードの最低音
転回形を除き、オンコードとは最低音がコードの構成音以外のものを指すことがわかりました。
では、最低音は何の音が配置されるのでしょうか?
答えは「何でも配置することができる」です。
もちろん、音を鳴らしたときの響きのバランスを考えて最低音を配置する必要がありますが、決まりとしては何の音でも最低音にすることができます。
(もちろん、最低音にする音によっては響きがにごります。)
これらのコードはどちらも最低音にコードの構成音が含まれていないため転回形ではなく、「オンコード」となります。
まとめ
今回覚えることを3つにまとめると
- コードはそのコードの持つべき構成音が含まれていれば、並び順に関係なく成立する
- 最低音がルート以外の構成音の場合は転回形(オンコード)と呼ぶ
- 最低音が構成音以外の場合は転回形とは呼ばず、単にオンコードと呼ぶ
実際の曲の中でコードが使われる場合には、基本形(最低音がルートの配置)だけということはあまりなく、大抵の場合は転回形や、それ以外のオンコードが使われています。
コードは音の並び順ではなく、「構成音は何か」を意識しながら見れるようにしましょう。
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5. テンションコード(9th, 11th)