初心者でもわかる楽譜の読み方 | 18. トリル(tr)の演奏方法

trと波線が書かれている記号を『トリル』と読みます。
トリルが付けられた音は、その音と2度上の音を交互に素早く演奏します。
あらゆる楽器で使用する奏法なので是非覚えておきましょう。

トリルの演奏例


上の楽譜のGの上に書かれたtrがトリルです。
トリルが付けられたGの音は2度上(5線譜の1つ上隣り)のAと交互にすばやく演奏します。
譜面にするとやや難しく見えますが、実際は2音を行ったり来たりしているだけです。

実は上の譜例は場合によってはあまり良い演奏になりません。
トリルは特定の音符を32分音符や3連符のような細かい音価にすることが目的ではなく、『素早く2音を交互に演奏すること』が目的です。
一見同じ用に聞こえますが、テンポが4分音符 = 100であれば上の譜例でも演奏可能ですが、テンポ180や200となると少々厳しいですし、何よりあまり音楽的ではありません。

テンポが速い場合は次のような音数で演奏しても良いですし、実際のところ曲や演奏者によってトリルをどの速さ、音数で演奏するかはケースバイケースです。

また、トリルは常に一定の速さで2音を行き来するだけではなく、後ろにかけて徐々に速さを上げて演奏されることもあるため、単純な記譜だけでは表現しきれない奏法でもあります。

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1つ上の音からはじまるトリル

プラルトリラーで1つ上の音から始まる演奏例があったように、トリルにも1つ上(2度上)から演奏することがあります。


この譜例は次のように1つ上の音からはじまることもあります。

後打音が付いたトリル


トリルの最後に上の譜例のような後打音が付くことがあります。
この場合はトリルの最後付近までは2度上の音と交互に演奏し、最後の部分だけ後打音で指定された音を演奏します。

臨時記号の付いたトリル


トリル記号の上に変化記号が付くことがあります。
この場合はトリルで付加された2度上の音を記譜された変化記号に則って演奏します。
上の譜例は次のように演奏します。

装飾記号で付加される音は指示が無い限り、調(スケール)に沿った音を演奏する

ヒント
調号、調(スケール)がわからない方はこちらの記事がおすすめです。
さらに詳しく知りたい方はこちらのシリーズもおすすめです。
仕組みで覚えるスケール | 1. スケールの読み方、種類と音度

前回までにプラルトリラー、モルデント、ターン、そして今回のトリルは1つ上もしくは下の音が付加されます。
1つ上、下の音、すなわち2度の音は変化記号による指示が無い限りは調の中の音を使います。
言葉にするよりも譜例を見たほうがわかりやすいので、いくつか例を用意しました。


どちらもEにトリルが付いていますが、片方は調号なし、もう片方は#1つの調号が付いています。
それぞれ次のように演奏します。

調号なしの場合

調号ありの場合

どちらも同じように見えますが、調号ありの場合はトリルで付加されたFの音が調号によりF#になっています。
もう1例見てみましょう。


それぞれ次のように演奏します。

調号なしの場合

調号ありの場合

このように装飾記号によって付加される音は鍵盤やフレット、運指がとなりの音を演奏するのではなく、その調に沿った隣りの音を演奏します。
付加された音が調号によって変化する音なのかどうかが判断のポイントとなります。

今回はトリルを例に説明しましたが、プラルトリラーやモルデント、ターンでも付加される音(1つ上、もしくは下の音 = 2度隣の音)はまずは調号をもとに何の音を演奏するか決定されます。
その次の段階として、装飾記号の上や下に付けられた変化記号で付加された音をどうするかを判断します。

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