メジャー、マイナーそれぞれのダイアトニックコードを前回までの2回に分けて紹介しました。
各ダイアトニックコードには機能(=使い方、使われ方)があります。
古典的なクラシックの曲では厳格にこの機能に則って曲が書かれることもありますが、すべての曲が一概にそうとは言えません。
実際の作曲やコード分析を行うにあたっては、「このコードはこの機能だから絶対に次はこのコードじゃないと駄目だ!」とならず、「そういった解釈もあるんだ」程度にとどめておくことをおすすめします。
トニック、ドミナント、サブドミナント
メジャー、マイナー問わず、コードにはそれぞれ必ずトニック、ドミナント、サブドミナントと名前のついた機能が存在します。
スケール(キー)の中の何度のコードかによって、トニック、ドミナント、サブドミナントの機能が割り振られます。
『Cメジャーコードは必ずトニック、Gメジャーコードは必ずドミナント』というのは間違いであり、それぞれのコード自体に絶対的な機能が割り振られているわけではありません。
あくまでも『スケールの何度のコードか』によって機能が変化することを覚えておいてください。
今回はCメジャーキーを例に説明をします。
トニック
トニック(Tonic)はTと略します。
i度のコードがトニックとして機能します。
トニックは主和音とも呼ばれ、キーを決定づける機能を持っています。
安定、着地するといった特徴を持っています。
トニックはドミナント、サブドミナントのどちらにも進行できる(繋げることができる)コードです。
ドミナント
ドミナント(Dominant)はDと略します。
v度のコードがドミナントとして機能します。
ドミナントは属和音とも呼ばれ、ドミナントからトニックを進行することでトニックをより強調する機能があります。
特にドミナントは4和音で使われた場合にその機能がより明確になります。
CメジャーキーでV7を作った場合はG7コードになります。
このコードに含まれるBとFが※増4度(減5度)の音程となるため非常に不安定な響きになります。
そんな不安定な響きからB(導音)が半音上がり、Cへ、Fが半音下がりEに進行することで、解決、解放されたと感じさせることができます。
(現代のドミナントの使われ方においては、導音が半音上がり主音へ、第7音が半音下がり第3音へ解決しない例もありますが、解決感は薄れます。)
ドミナントは原則トニックへのみ進行しますが、ドミナントからサブドミナントに進行する曲も多く存在します。
※増4度(減5度は)全音(長2度)が3つ分の音程であることから、3全音またはトライトーンと呼ばれます。コードの説明では『ドミナントコードに含まれるトライトーンが~』と慣習的に書かれることがあります。
サブドミナント
サブドミナント(Subdominant)はSもしくはSDと略します。
iv度のコードがサブドミナントとして機能します。
サブドミナントは下属和音とも呼ばれ、ドミナントへ進行する準備として使用されることがあります。
とはいえ、サブドミナントからトニックに進行することもあります。
ドミナントからトニックへ進行に比べ、サブドミナントからトニックへ進行した場合は解決感、着地感が薄くなります。
トニック、ドミナント、サブドミナントのまとめ
T, D, SDのそれぞれが何に進行できるかをまとめると次のようなパターンが考えられます。
(TがT)
- T → D → T
- T → SD → D → T
- T → S → T
この3つがコードの機能に基づく一般的な使われ方です。