楽譜には音の高さだけではなく、「どれくらい音を伸ばしたらいいか」の情報も音符として書かれます。
どれくらい音を伸ばすかは「何秒伸ばすか?」といった具体的な時間ではなく、何倍、もしくは何分の一の長さ伸ばすかが書かれています。
※音の長さのことを音楽用語では音価(おんか)といいます。
4分音符(しぶおんぷ)
4分音符にはたま(符頭)とぼう(符幹)があります。
4分音符はリズムを取るときなどによく使うため、感覚的に一番覚えやすく、わかりやすい長さの音符です。
楽譜で実際にどのような長さで演奏されるのか見てみましょう。
まずはこちらの楽譜をみてください。
メトロノーム記号
楽譜の上に4分音符 = 120と書いてあります。
これはメトロノーム記号といいます。
この楽譜では「1分間に4分音符を120回演奏する速さ」という意味になります。
実際に割り算をして計算してもいいですがメトロノーム記号というくらいですから、メトロノームで4分音符 = 120にセットしてどれくらいか感じましょう。
メトロノームが手元にない場合は時計の秒針を見てみてください。
1分間は60秒なので、1分間に120回演奏するには1秒間に2回、つまり、0.5秒に一回の速さになります。
拍子記号
楽譜の左に縦並びで4 4と書いてあります。
これは拍子記号と言い、1小節に音符がどれくらい入るかを決める記号です。
下に書かれた数字が分母、上に書かれた数字が分子の役割をしています。
この場合は「4ぶんの(分母)の4拍子(分子)」と読みます。
この楽譜では「4分音符(分母)が1小節に4つ(分子)入る」という意味です。
4分音符の長さは何秒?
音符のしたに描いた青色の棒の長さが4分音符の長さです。
メトロノーム記号で説明したとおり、テンポ120では0.5秒が4分音符一つ分の長さです。
といっても毎回そんな計算をしているわけではなく、メトロノームを4/4拍子にセットし、カチカチとなっている音から次の音までのながさこそが4分音符の長さなのです。
なので、4分音符を演奏したい場合はメトロノームの音にピッタリ合うタイミングで演奏すれば大丈夫です。
2分音符(にぶおんぷ)
4分音符と似ていますが、たまの部分が白抜きになっているところが特徴です。
2分音符は4分音符2つ分の長さです。
4/4拍子では1小節に2分音符が2つ入ります。
音の長さが4分音符の倍になっているので、4/4拍子ではカチカチと2回分の長さを伸ばします。
全音符(ぜんおんぷ)
このただの白抜きのたまだけの音符は全音符と呼びます。
他の音符と違い、棒がありません。
よく出てくる音符の中では最も音を伸ばすことができる音符です。
(倍全音符というものもありますが、そこまで見る機会はありません。)
全音符は4分音符4つ分の長さです。言い換えれば2分音符2つ分の長さです。
4/4拍子では1小節に全音符が1つだけ入ります。
8分音符(はちぶおんぷ)
4分音符の形に、はた(符尾)がついているのが特徴です。
8分音符は4分音符の半分の長さ音符です。
4/4拍子では1小節に8分音符が8つ入ります。
8つなのでこのように8つ並べることもできますが少々見づらいです。
そのため、2個以上8分音符が続けてある場合は、このように音符のはた部分をつなげて書かれることが多いです。
8分音符のつなげ方にはこのようなパターンがあります。
見やすさのために連桁[1]しているだけで、音符の長さはすべて一緒です。
[1]音楽用語では音符をつなげることを連桁(れんこう)と呼ぶことが多いです。
16分音符(じゅうろくぶおんぷ)
16分音符は8分音符についていた旗がもう一つ増えています。
16分音符は8分音符の半分の長さ音符です。
音の長さが半分になるごとに旗はひとつづつ増えていきます。
4/4拍子では1小節に16分音符が16こ入ります。
8分音符と同じく、このままでは見づらいので連桁してみましょう。
4/4拍子ではこのように連桁するのが一般的です。
16分音符が4つで4分音符1つ分なので、4分音符単位ごとに連桁していることがわかります。
すべてつなげてしまっては逆に見づらくなってしまうので、拍の区切りごとに連桁します。
16分音符の連桁にはこのようなパターンがあります。
こちらも8分音符同様、音符の長さはすべて一緒です。
もう一歩踏み込んだ解説 - 音符の連桁パターン
リズムを楽譜から読み取ることが苦手な人に多くが、8分音符と16分音符が連桁しているときに、どこがどの長さかわからなくなっています。
音符が連桁するときのパターンをある程度覚えておけば、理解しやすくなります。
よく出てくるパターンとしてこのようなものがあります。
音符の下にそれぞれ8分音符なのか、16分音符なのか数字をつけました。
上の楽譜からわかるように連桁にはパターンが色々ありますが、8分音符以下の長さの音符(旗は一つ以上ある音符)が並んだ場合は隣り合っている音符のうち、まずはそのかたまりの中で音の長さが短いもの同士の旗がくっつき、2番目に短いものがくっつき・・・と繰り返していきます。
この法則がわかりやすいように、16分音符のさらに半分の長さの32分音符を登場させてみます。
この楽譜から隣り合った長さの違う音符の連桁について次のことがわかります。
- 8分音符と16分音符は1つの旗でつながっている
- 16分音符と32分音符は2つの旗でつながっている
- 32分音符と8分音符は1つの旗でつながっている
連桁の仕組みやパターンを知ることで初めてみるリズムでも理解しやすくなります。ぜひ、豆知識として覚えてみてください。
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7. 休符