
メジャーアーティストではないミュージシャンもしくは作曲家がCDを自分で作って販売することが比較的簡単にできるようになった最近。
実際のところどれくらい費用がかかって、いくら手元に残るのでしょうか?そもそも儲かるのでしょうか?
目次
制作にかかる費用
単にCDを作ると言っても手焼きなのか、パッケージにするかによってかかる費用が違います。
今回は以下の作業をすると過程して計算します。
- マスタリング
- パッケージデザイン
- メーカーでのCDプレス
マスタリング
曲ができたらそれをCDに焼いて完成というわけにはいきません。
マスタリングという全ての曲の音圧や音質、曲間などを調節する作業が必須となります。
マスタリングスタジオで行えることが理想的ですが、個人でも出来なくはないです。
予算の関係上、自主制作CDではあまりマスタリングに出すことは無いです。
今回は自分でマスタリングしたと想定し、0円とします。
パッケージデザイン
CDの顔ともいうべきジャケット。
売上にも大きく影響するためこだわりたいです。
いつもお願いしている人や知り合いにデザイナーの方がいる場合は相場がわかりやすいです。
そうでない方はプレス会社に制作依頼をするとスムーズです。
参考までに大手プレス会社のテックトランスの価格では以下となります。
6P3点コース
32,000円
- 盤面(レーベル)デザイン
- シルク4色、オフセットフルカラーまで
- ジュエルケース用ジャケット(両面)デザイン
- ジュエルケース用帯(両面)デザイン
- ジュエルケース用バックカード(両面)デザイン
テックトランスより引用
※2016/03/02現在
色々書いてありますが要約すると「CDをパッケージングするために必要なものが一通りそろってる」ということです。
今回はこの32,000円(税別)プランで計算します。
CDプレス
プレスする部数やジャケットのページ数によって大きく金額が変わります。
今回は以下のプランで計算します。
- 1000部
- 印刷物は6P3点セット(ジャケット・バック・帯)
- 海外プレス(実際に海外の工場とやりとりする必要はありません)
このプランをさきほどのテックトランスで計算すると101,000円(税別)です。
2016/03/02現在 標準的なオプション、納期が11日で計算
ここまでにかかった費用
マスタリング、パッケージデザイン、プレスこれらにかかった費用を合計すると…
0円(マスタリング)
+ 32,000円(パッケージデザイン)
+ 101,000円(CDプレス)
= 133,000(税抜き)
となります。
いくらで売るのか
販売価格は利益に関わる重要なので慎重に決めなければなりません。
高すぎても売れないですし、安すぎると元が取れないですよね。
自主制作の場合は音源制作費が大幅にかかってない場合は1曲200円前後で計算することが多いです。
「2,000円は高い」と感じる方も多いので、今回は8曲収録で1,600円で販売するとします。
結果
さて、プレスしたCDが全て売れたとした場合、
1,600円 * 1000部 = 1,600,000円
・・・!
160万円!!
結構な金額ですね!と行きたいところですが、手売りでない場合はほぼ確実に掛け率というものが存在します。
大手CDショップチェーンなどでもインディーズ、個人が制作したCDを取り扱ってはくれますが、掛け率については公表していません。
参考までにAmazonで販売した場合の掛け率でもう一度計算してみましょう。
1,600,000円 * 0.6(Amazonでの掛け率は60%) = 960,000円
96万円になりました。
ここから制作費を引くと
960,000 - 133,000 = 827,000円
最終的な利益は827,000円となります。
(送料の計算は細かくなるため省きます。 CDショップでの委託販売の場合は送料は委託するときのみかかります。)
逆に全然売れなかったとしてギリギリ赤字にならないためには何枚売ればよいか計算します。
133,000円 / (1,600円 * 0.6(掛け率)) = 138.54枚
139枚売れればギリギリ赤字にはなりません。
まとめ
実は以上の計算には含まれていない費用があります。
そう、レコーディングや機材費、プロモーション費などです。
レコーディングスタジオ、機材レンタル費、演奏者への支払い、プロモーションはやり方しだいでは安く、こだわれば青天井の世界です。
ですが、最近は自宅レコーディングや打ち込みですませるものも多いためあえて計算には入れませんでした。
結論、どれだけ時間をかけるかにもよりますが、自主制作CDは比較的儲かります。
ただ、商業的な成功よりも商品としての価値を高め、損益分岐ギリギリで制作することがあるのもまた事実です。
自主制作といえど、しっかりとした予算組をすればファンを裏切らないクオリティで自分も満足できる作品に仕上げることができます。