印象主義音楽って知ってる? その4 オーケストラ作品編2

ドビュッシーのオーケストラ作品

前回のラヴェルのオーケストラ作品はわかりやすいものが多かったです。
ドビュッシーの作品は自由な旋律、展開、リズムどれも独特です。
ぱっと聴いただけでは何が良いのか分からない、眠い音楽と感じてしまう人もいます。
ですが、心を落ち着かせてじっくりと聴いてみてください。
きっと訴えかけてくるものがあります。

交響詩 海 / La Mer

印象主義音楽の中でも外せない作品がこの「交響詩 海」。
一定しない不安定さと時折現れる心地よいフレーズのバランス感覚が音楽の緊張感を高めてクライマックスまで一瞬も聞き逃したくない、そんな気持ちにさせる作品です。

  • 海の夜明けから真昼まで / De l'aube à midi sur la mer
  • 波の戯れ / Jeux de vagues
  • 風と海の対話 / Dialogue du vent et de la mer

以上の3部から構成され、演奏時間は25分前後と長めです。また、形式やわかりやすい主題といったものも存在しませんので、古典派等の音楽に親しんでいる方だと少々とっつきにくいと感じるかもしれません。しかし、海が見せる様々な表情をそれぞれの部によって描かれ、全体を通して大きな物語になっているため最後まで飽きることはありません。
ドビュッシーの名言に「音楽の本質は形式にあるのではなく、色とリズムを持った時間にある」という言葉がありますが、まさしくこの作品のことなのではないでしょうか。

喜びの島 / L'Isle joyeuse

ドビュッシーによるピアノ独奏曲を指揮者であるベルナルディオ・モリナーリが編曲した作品。
ジャンアントワーヌ・ヴァトーの絵画「シテール島(神話で女神ヴィーナスの島)への巡礼」に影響を受け作曲されたと言われています。
流れるような展開と映画音楽的な盛り上がり、きらびやかさに加えメロディアスな部分もありと、オーケストラの魅力を詰め込んだような作品です。

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まとめ

はっきりとしたわかりやすいリズム、一度聞いたら覚えられるメロディー、期待を裏切らない展開、やはりこれらは印象主義のオーケストラ作品にはこれらがあまりありません。しかし、そうした今までの手法以外で音楽の可能性を追求した結果、絵画的な描写や漂う空気感を捉えたような音はこびがなされ、深みがあり心理に訴えかけるような音楽が完成されたのです。

印象主義のオーケストラ作品はそうした手法が色濃く反映されています。各楽器の響きがとけ合い、まどろみのような幸福感を得ることが出来るためリラックスミュージックとしても使われることも多いです。
しかし、聞けば聞くほど作品に込められた細かなこだわりを発見する魅力があるので、是非何度も聞き曲の奥深さを味わってください。

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